衆議院の優越の理由と具体例

日本の国会は二院制を採用し、衆議院と参議院の2つがあります。そして、これらは国民の中から選挙された議員で組織されます。

どちらも平等であるはずの国民の代表の集まりなので、両議院は対等であるべきと考えられますが、実際には衆議院の優越が認められています。

この記事では、衆議院の優越の理由と具体例についてご紹介していきます。

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理由

衆議院の優越が認められているのは、国政が滞ることを防ぐためです。

例えば、予算の議決が両議院で異なった結果となった場合、予算が通らないため、年金の支給が滞るかもしれません。警察や学校などの機能が停止してしまうかもしれません。

衆議院と参議院のどちらかの優越を認めれば、こういった事態を防ぐことが出来ます。

なぜ参議院ではないのか

どちらかの優越を認めれば、国政が滞ることを防げると書きましたが、それなら衆議院ではなく、参議院の優越でも良かったのではないか?と疑問に思うかもしれませんね。

なぜ衆議院なのか、その理由は以下のようになります。

民意

参議院には解散がなく、衆議院には解散があります。また、任期も衆議院の方が短いです。これらの違いによって、衆議院の方が民意を国政に反映しやすいと言えます。

日本は民主主義の国ですから、より民意が反映されやすいものに重点をおく方が良いですよね。なので衆議院の優越が認められているのです。

具体例

両議院は基本的には対等ですが、部分的に衆議院の優越があります。その具体例をみていきましょう。

予算先議権

憲法60条1項 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

予算が無ければ国政を行うことが出来ませんから、予算の可決は重要なことです。なので衆議院の優越が認められています。

予算の議決

憲法60条2項 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

異なる議決をして、両議院の協議会を開いても一致しないとき、衆議院の議決が国会の議決となります。また、参議院は予算案を受け取ってから、国会休会中を除き、30日以内に議決しなければなりません。

法律案の議決

憲法59条2項 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
憲法59条4項 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

予算の議決とは違い、両議院で議決が異なる場合は、衆議院での再議決が必要です。また、期間が60日以内と、予算のときの2倍になっています。

条例承認の議決

憲法61条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

前条第2項とは、予算議決の条文であり、条例承認の議決は予算議決の規定を準用し、条例承認の議決についても衆議院の優越を認めています。

内閣不信任決議権

憲法69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

『衆議院で』と書かれているので、内閣の不信任決議、信任の決議は参議院では行えず、衆議院のみに与えられている権利です。

内閣総理大臣の指名

憲法67条2項 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

内閣総理大臣の指名は予算の議決と似ていますが、衆議院での議決後、国会休会中の期間を除いて10日以内と短くなっています。法律案の議決のときのように、衆議院での再議決はありません。