後悔する?後悔しないために | 男性の体に女性ホルモン投与

正しい順序で開始する

ガイドラインに沿う

性同一性障害の診断と治療にはガイドラインが用意されており、専門の病院で診断を受け、判定され、正式な治療へと進むことができます。正式な治療では、指定された病院などで、ホルモン注射を行います。

ガイドラインに沿って、ホルモン注射を開始する前に、個人輸入などでホルモンの錠剤を手に入れて、自分の判断だけで投与を開始するのを『フライング』と呼ばれています。

私も当事者なので、本当に心身ともに性別のことで苦しんでいる時は、フライングをしたくなる気持ちもよく分かりますが、ガイドラインに沿い、正式にホルモン注射を開始した方が、後悔する可能性をかなり減らせるでしょう。

また、性同一性障害を診断してくれる病院は沢山あり、今もあるかは分かりませんが、1日とか凄く短期間で診断書を出してくれるような病院もありますが、そういう病院には絶対に行かないで下さい。必ず大学病院で診断を受けることをお勧めします。

ある程度のパス度を得ておく

パス度っていうのは、他人から自分が望む性別として、判断されているかどうかの程度のことで、MtFであれば、声も外見など全てが女性と判断されるのが望ましいです。

大体の人があなたのことを女性と判断するようなパス度を、ホルモン開始前に得ておきたいものです。なぜなら、開始前にパス度がなかったら、ホルモン開始した後もパス出来なかった場合、後悔する可能性が高くなるからです。

女性ホルモンは、あなたのパス度を向上させる手助けになりますが、所詮、手助け程度です。ホルモンで声が高くなる事はないので、ボイトレは本当に頑張らないといけませんし、メイクや自分に合った服装を選ぶ腕も上げないといけません。努力もとても大切になるのです。

中途半端な気持ち

覚悟

覚悟だなんて大袈裟に思えるかもしれませんが、男性の体に女性ホルモンを投与すると、一度変化したものが元に戻らないような、不可逆的な変化もあるので、男性としての人生を今後ずっと捨てるような覚悟が必要です。

覚悟や深い知識なしに投与を開始してしまうのは、コンビニに行くような感覚で、戦場のど真ん中に飛び込んでいくようなものです。後悔したときには既に手遅れです。

自殺してしまいそうかどうか

私は、男性の体で、男性ホルモンが流れながら生きていくというのは、気が狂いそうになりますし、女性ホルモンを投与できていなかったら、自殺を試してしまうかもしれなかったでしょう。

女性ホルモンに手を出すというのは、ある意味、最後の手段でもあります。投与前は、精神的に追い込まれている状況でした。投与後は、ホッとして安心した気持ちが大きいのが特徴で、現在も、投与して良かったと思います。

ただ、精神的に追い込まれている状況なら、専門の病院へ通院し、自分の気持ちや考えとしっかりと冷静に向き合う必要があります。向き合った上で、本当に女性ホルモン投与が必要かを考え、それでも必要なら投与すると良いでしょう。

じっくり考えないで投与してしまうと、あとで後悔する可能性が高くなります。

投与が本当に必要かどうか

投与を開始する前に、現時点での自分の悩みや、生活における苦労や障害は何かをじっくり考え、本当に、女性ホルモンの投与が必要かを考えた方が良いでしょう。

今までに出会った、性別に違和感を感じ、性別を変えようと試みる人の中には、心と体の性別が異なっているからではなく、別なことが原因で、自分の体の性別に抵抗を感じている人もいました。

その別な原因とは、家族や周囲から、体の性別での行動を極端に求められていたり、過去に性暴力などを受けた経験があったりするものです。そういった事がある場合、性別を変えても根本的な原因が解決されないので、あとで後悔してしまいます。

考えが変わる事も

私は投与前は、男性ホルモンが体に沢山あって、男性として成長していくなんて耐えられないと思っていたので、女性ホルモンの投与は必須で、性転換の手術をして性別の変更も絶対にしたいと思っていました。

しかし現在では、女性ホルモンの投与は自分の精神面などにおいて、メリットが大きく、後悔なんて全くしていませんが、性転換の手術はしなくても良いだろうという考えに変わりました。

このように、生活の変化などで、考えが変わる事もあるので、事前にじっくり考えるのが大切です。もしかしたら、現在のあなたの悩みを解決するには、女性ホルモンの投与は必要ないかもしれません。

豊富な知識

女性ホルモンを投与したら、どんな変化があるのか、副作用があるのか、元に戻らない変化は何か、女性ホルモンの種類や投与方法などなど、色んな知識を投与前に集めておくと良いでしょう。

実際に錠剤や注射で、女性ホルモンを投与した人の体験記などを色々と読んでみるのが良いでしょう。

女性ホルモンの投与がどういうものかを詳しく知っておけば、後で後悔する可能性も減るのではないでしょうか。

期待しすぎている

あくまでも補助的

女性ホルモンを投与すると、肌のキメが細かくなり、色も白くなり、肉付きも含めて一般女性と変わらないくらい変化しました。胸も少し大きくなりました。

しかし、女性ホルモンで声が高くなる事はありませんし、骨格も一切変わりません。骨格が変わらないという事は、身長も肩幅も変わらないという事です。

街中にいる、お兄さんやおじさんに女性ホルモンを投与したらと想像してみてください。その近くにいる女性のようになれるでしょうか。胸が少し出て、肌が綺麗になっただけでは、女性化に補助的な効果が出たとしか言えません。

努力が大切

やはり努力がとても大切です。努力できない人は、女性ホルモンで変化してもパス度を上げることが出来ないでしょう。

私の昔のMtFの知り合いは綺麗な人が多かったのですが、みんな凄く努力をしている人ばかりでした。ボイトレもそうですし、メイクもそうです。MtFとして美人だけでなく、女性としても美人な人もいますが、それでも身長や肩幅、男性的な特徴が残る人もいます。ただ、服装や髪型で上手くカバーしてる人も多いです。

一般女性が髪型を大きく変えたり、メイクや服装を変えると、ガラリと雰囲気が変わりますよね。一般女性でさえも努力している人が沢山いますから、MtFならもっと努力しないといけません。

精神的な安定感

女性ホルモン投与で肌や肉付きが女性的になりますが、一番大きな変化は精神面です。もう男性として成長する事はないという安心感がとても大きいのです。

なので、変化ばかりに期待していると後悔する可能性も高くなってしまうでしょう。女性ホルモンによる外見の変化は、あくまでも中性的にしてくれるものでしかないからです。

理想がある

こういう女性になりたいという理想が強い人は、あとで後悔する可能性が高くなるでしょう。そもそも体が女性として生まれていない時点で、その理想は非現実的だからです。

もちろん、綺麗になりたいという目標は良いと思いますし、一般女性も含め、ほとんどの人がそう思っているでしょう。ただ、あくまでも目標にしておくのがベストです。

強い理想は、現実のものにならなかった時、近づけなかった時、大きな絶望になります。

知り合いのMtFの中には、体が男性と分かって見て、声を聞いても元男性だなんて信じられないような人もいますが、それでも一般女性とは明らかに違うような、男性的な特徴があるものです。

思春期前からホルモン投与でもやっていない限り、かなり無理があります。それでも自分は理想的な女性になれると信じ切るのは、自分だってやれば世界で活躍するようなプロ野球選手になれると信じるものかもしれません。いえ、それより困難かもしれません。

問題の解決のための投与

時々、投与前での人間関係や、人生の問題点は、女性ホルモンを投与すれば解決するのではと期待する人がいますが、繰り返しますが、女性ホルモンで解決できる悩みはただ1つであり『男性としての成長を止める』ことだけで、それ以外の問題は自分で解決しないといけないと思ってください。

投与開始から1〜2年は精神的に安定しないかもしれないので、問題は更に悪化するかもしれません。また、投与前で既に孤独になりかけている人は、投与で更に孤独になるかもしれません。そうなると、より苦しむことになるでしょう。

自分は心が女性だから、男性とは上手くコミュニケーションが取れないという人も時々いますが、正直それは間違いかなと思います。そういう人はホルモンを開始しても、同性と上手くコミュニケーションが取れるようになるとは思えません。

女性としての人生だって大変

私の主観ですが、後悔する人の中には『女性になれば、生活や人生が楽になる』と思っている人もいるのではないでしょうか。男性の中には、女性に対して偏見を持っている人が少なからずいます。本人には自覚がなくても、そういう考えの元、投与を開始してしまい、あとで後悔するケースがあるのでしょう。

私の経験では、確かに男性だから辛い思いをする部分もいくつかあり、それらは(パス出来た場合)女性として生活できたら、随分と軽減されるものもあります。しかし、別な部分で同じくらいかそれ以上に苦労する事もありました。

それに、パスできたら、同じくらいの苦労で済むかもしれませんが、パス出来なかったら生活のあらゆる場面で苦労が倍増するでしょう。そうなれば『ホルモン投与なんかせずに男性として生活すれば良かった』と後悔するかもしれません。

投与開始の理由が性欲の場合

体が男性の人で、外見などの女性化を目指す人の中には、自身の性欲がキッカケになる人もいて、その延長線上でホルモン投与する人もいるでしょう。こういった人は、ホルモン投与開始後に後悔する可能性が高いのではないでしょうか。

なぜなら、ホルモン投与して効果が現れてくると、個人差はありますが、性欲が激減して無いに等しくなり、生殖器も排泄以外の機能はほぼ無くなります。

性欲がキッカケで何かに期待していた人は、性欲がほぼ無くなってしまい、自分の姿をみたときに何を思うのでしょうか。きっと、冷静に考えて『自分はとんでもないことをしてしまった』と後悔するのでしょう。