主語の人称・数による動詞の変化を解説【楽しくドイツ語入門】

ドイツ語では、文中で動詞は主語の種類によって形が変わります。どんな風に変化するかというと、動詞の語尾が規則性を持って変化します。英語では3人称単数の主語のときには動詞にsをつけますよね。あれに似ています。

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主語の種類

ここでいう主語の種類とは、人称と数で分類します。人称とは、文に登場する人の、話し手を基準とした立場のことです。話し手自身(わたし)は1人称となり、話し手から見た聞き手(あなた)は2人称となります。そして「わたし」でも「あなた」でもない、それ以外の人の立場を3人称と呼びます。人称と言っていますが物も3人称で扱います。

代名詞である「彼」、「彼女」、「それ」などはどれも3人称です。あと固有名詞は、人名、商品名、土地の名前など全て3人称として扱います。

「わたし」と「あなた」以外は、代名詞だろうがただの名詞だろうが全て3人称です。

次は主語の数についてですが、「わたし」なのか「わたしたち」なのかを区別するということです。主語の表す人、物が、単数なのか複数なのかということです。

それでは具体的に主語になる語を見ていきましょう。

  単数 複数
1人称 ich(私) wir(私たち)
2人称 du(君) / Sie(あなた) ihr(君たち) / Sie(あなたたち)
3人称 er (彼)/ sie(彼女) / es(それ) sie(彼ら、彼女ら、それら)

英語と異なり、2人称に「君、君たち」と「あなた、あなたたち」という親しさによる区別があります。この「あなた、あなたたち」の Sie は文中でも大文字で書き始めます。

あと、英語の2人称は単数、複数ともにyouで同じ形ですが、du は複数になると ihr になります。

注意しないといけないのは、3人称の複数が、敬意の2人称 Sie と同じつづりということです。ただしこちらは文中では大文字で書き始める必要はありません。

動詞の人称変化

実際に主語に対して動詞がどう変化するのか、動詞 singen(歌う)で見ていきましょう。

     
Ich singe. 私は歌う。 e
Du singst. 君は歌う。 st
Er / Sie / Es singt. 彼 / 彼女 / それは歌う。 t
Wir singen. 私たちは歌う。 en
Ihr singt. 君たちは歌う。 t
Sie singen. 彼ら / 彼女ら / それらは歌う。 en
Sie singen. あなた / あなたたちは歌う。 en

物は人ではないですが、3人称として扱います。

表の右端に変化した語尾を示しています。変化しない部分、元の形で後ろの en を抜いた部分を「語幹」といいます。

文中で使われるときに初めて形が決まるので、主語に応じて決まった形のことを「定形」と呼びます。それに対して、辞書の見出しにくるときなど動詞の単語として捉えるときには singen のままで、形が定まっていないということで「不定形」と呼びます。英語なら原形と言うところですね。

wir や sie / Sie に対しては、不定形と同じ形で singen となりますが、文中で形が定まっているのであくまでも定形です。

なんでこんな変化をするのか不思議ですが、有名な覚え方があります。

単数で1,2,3人称、複数で1,2,3人称の順に並べ、複数の3人称 sie と敬意を込めた2人称 Sie は、同じ変化をするのでまとめてしまうと、語尾をつなげて読んだときに「エストテンテン」となり、語呂が良くなります。

これはただ覚えるしかないです。日本語の動詞の活用みたいなものです。

例外的な変化

上に書いたのは例外のない基本的な変化の仕方です。これ以外に発音しやすくするためにいくつか例外があるのと、基本的な変化の仕方に従わない不規則変化をする動詞があります。

語幹が d, t で終わる場合

語幹が d, t で終わると、語尾が -st や -t になるときに発音しづらいので e を間に加えます。arbeiten (働く)、finden(見つける)、warten(待つ)などが当たります。

     
Ich arbeite. 私は働く。 e
Du arbeitest. 君は働く。 est※
Er / Sie / Es arbeitet. 彼 / 彼女 / それは働く。 et※
Wir arbeiten. 私たちは働く。 en
Ihr arbeitet. 君たちは働く。 et※
Sie arbeiten. 彼ら / 彼女ら / それらは働く。 en
Sie arbeiten. あなた / あなたたちは働く。 en

語幹が s, ß, z で終わる場合

語尾が -st になるときに発音しづらいので s を省き、語尾を -t にします。つまり主語が du のときの変化が er / sie / es のときと同じになります。reisen(旅行する)、heißen(〜という名前である)、sitzen(座る)などが当たります。

ßはエスツェットと呼ばれ、s と同じ発音です。また ß の文字が表示できないときは ss( s が2つ)で代用したりもします。

     
Ich tanze. 私は踊る。 e
Du tanzt. 君は踊る。 t※
Er / Sie / Es tanzt. 彼 / 彼女 / それは踊る。 t
Wir tanzen. 私たちは踊る。 en
Ihr tanzt. 君たちは踊る。 t
Sie tanzen. 彼ら / 彼女ら / それらは踊る。 en
Sie tanzen. あなた / あなたたちは踊る。 en

不定詞が-eln で終わる場合

lächeln(微笑む)、wechseln(〜を交換する、取り替える)、handeln(行動する)のように変化していないときの形が-ln や-rn で終わる動詞では、主語が ich のときに l や r の前の e が抜けます。

  単数 複数
1人称 ich lächle ※ wir lächeln
2人称 du lächelst ihr lächelt
3人称 er/sie/es lächelt sie/Sie lächeln
     
1人称 ich wechsle ※ wir wechseln
2人称 du wechselst ihr wechselt
3人称 er/sie/es wechselt sie/Sie wechseln
     
1人称 ich handle ※ wir handeln
2人称 du handelst ihr handelt
3人称 er/sie/es handelt sie/Sie handeln